深夜放送
ichirou
思い出した
深夜放送で読まれた骨肉腫の高校生の女の子の
手紙
中学生の僕は
いのちというものをはじめて意識した
しばらくして女の子は亡くなった
女の子が好きだった深夜放送
僕も毎週聞いていた
その番組に送られてきた亡くなった女の子の日記
脚を切断された女の子が想像する
自転車に乗っている自分
死を予感する女の子が空想する
小学校二年生の息子と夫
死の間際
まわりに八つ当たりしていた女の子が知る
友情と愛
泣きながら深夜放送を聞いている僕のこころに
涙をこらえ女の子の日記を読むラジオパーソナリティの声が響く
いろんな人が深夜放送で繋がっていた
僕は深夜放送が大好きだった
僕は深夜放送を聞いていて
喜びの
いのちの
未来の
友情の
希望の
ともしびが
見えるようになっていた気がする
そして
いつの間にか
人間になっていた