ガザの犬
藤原絵理子


少女の頬に
ほんの少しの血が 
乾いて お祭りの
化粧のようで

当たり前のように
気にもかけなかった

からりと晴れた 暑い午後
地中海の香りを思い出して
悲しくなった

抱かれた犬は
微笑んでいる
後ろ足の片方は
なくなっている

不思議な顔の兵士が来たら
ここも良くなって 苛立つようになる
そう教えてくれた兄は 砲弾に
ばらばらに千切れて 瓦礫にこびりついた

少女も幸せそうに
微笑んでいる
不思議な顔のカメラマンに
向かって 幸せそうに


自由詩 ガザの犬 Copyright 藤原絵理子 2014-07-28 21:52:50
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