ろっく・ぼとむ
凍月



  「  」は暗い
ただ暗い場所
        一歩進む毎に
    自分が壊れる音がするのに
 立ち止まる事も許されず
   黒い泥の上を這って より深い闇へ向かう
      「  」では言葉など無い
    逆棘のついたナイフや絶叫・嗚咽・断末魔は
  言葉とは違うから
 「  」には陽が差す事が無い
   憐憫や恵みの裏には必ず
  欺瞞と自己満足しか無いと思われているから
       一度曲がった金属板の
   折れ目が消える事は無い
        粉砕された岩が再び
  元の岩に戻る事は無い
       「  」では
    息を吸う度に
   虚しさと絶望が血管を巡り
 惨めさが涙に滲み
       恨みと嘆きと苦しみが心臓と脳を焼く
    崩れ落ちるように膝をつき
  盲目の祈りを捧ぐのだ

    神よ、私を殺して下さい
 この掃き溜めのような世界ではもはや
   生きているのかも判りません
   神よ、いっそ私を殺して下さい

 神なんて居ないと知りながらも
  それでも祈るしか無いのだから


            「  」では
    自分が壊れて変貌する
        鏡を見ても
    そいつが誰なのか分からない
 「  」に居れば
   君が叫ぶのには十分過ぎる
  君が泣くのにも十分過ぎる
 君が引き裂かれて
二度と完成しないパズルになるのにも十分過ぎる
    「  」には
  天使も悪魔も来ない
       「  」は
  見捨てられた朽ちてゆく廃墟




  「  」はどん底
   それが、Rock Bottom






自由詩 ろっく・ぼとむ Copyright 凍月 2014-07-28 21:38:35
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