ろっく・ぼとむ
凍月
「 」は暗い
ただ暗い場所
一歩進む毎に
自分が壊れる音がするのに
立ち止まる事も許されず
黒い泥の上を這って より深い闇へ向かう
「 」では言葉など無い
逆棘のついたナイフや絶叫・嗚咽・断末魔は
言葉とは違うから
「 」には陽が差す事が無い
憐憫や恵みの裏には必ず
欺瞞と自己満足しか無いと思われているから
一度曲がった金属板の
折れ目が消える事は無い
粉砕された岩が再び
元の岩に戻る事は無い
「 」では
息を吸う度に
虚しさと絶望が血管を巡り
惨めさが涙に滲み
恨みと嘆きと苦しみが心臓と脳を焼く
崩れ落ちるように膝をつき
盲目の祈りを捧ぐのだ
神よ、私を殺して下さい
この掃き溜めのような世界ではもはや
生きているのかも判りません
神よ、いっそ私を殺して下さい
神なんて居ないと知りながらも
それでも祈るしか無いのだから
「 」では
自分が壊れて変貌する
鏡を見ても
そいつが誰なのか分からない
「 」に居れば
君が叫ぶのには十分過ぎる
君が泣くのにも十分過ぎる
君が引き裂かれて
二度と完成しないパズルになるのにも十分過ぎる
「 」には
天使も悪魔も来ない
「 」は
見捨てられた朽ちてゆく廃墟
「 」はどん底
それが、Rock Bottom