握り潰された缶コーヒー
凍月



まだ足りない

融け出しそうなアスファルトに
全てを投げ出した缶コーヒー
プルトップ付近から流れ出す
真っ黒な涙
この世の暗い暗い所を
かき集めて固めて挽いて
それでも足りない
僕はまだ知らない
まだ足りない
見るに耐えないので
僕はソレを拾い上げ
力の限り握り潰す
ひね曲がったソレを見て
ひん曲がる口角
まだ足りないので
地面に刺さった
燃え盛る黒薔薇を
摘み取って
口に挿してやった

僕はまだ、ブラックが飲めない
まだ、足りない





自由詩 握り潰された缶コーヒー Copyright 凍月 2014-07-24 21:13:05
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