包み紙
まーつん

 遠く離れた
 名も知らぬ君に対して
 愛を感じるための
 口実なんてない

 人類みんな
 兄弟、姉妹だから、なんて
 そんな標語も、白々しいだけで

 だって
 兄弟げんかも度を過ぎて
 殺しあったりするだろ
 騙したり、蔑んだり
 憎みあったり

 血を分けた兄弟同士も
 富を分け合うことはないんだ
 みんな、自分が可愛いのさ
 人を愛せないから、花を愛でる

 でも、それでも
 君に言葉を

 たとえ嘘だと
 はね除けられても
 遠く離れた君に贈るよ

 黄金でも、
 小切手でもない
 輝きも、飾り気もない
 一文にもならない
 代物だけど

 言葉は包み紙
 見てくれなんて、問題じゃない
 大切なのは、何が包んであるか、だ

 君の
 穢れを知らない手で
 くしゃくしゃになった包みを
 広げてみてくれないか

 その中にあるのが 

 僕に渡せる
 たった一つの 
 ものだから







自由詩 包み紙 Copyright まーつん 2014-07-24 15:20:01
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