言葉に傾いている
beebee






言葉に傾き
ほら歩く姿に
傾きがありませんか?


真っ直ぐ歩いて来た
自分はそう思って来た
でもある時
人に言われたんだ
君々何か傾いているよって


いやいや僕は真っ直ぐ歩いて来た
頭をピンと立て
真っ直ぐ歩いて来たんだ
答えたよ
真っ直ぐに歩いて来たんだ


その人は笑ったよ
可哀想にわからないんだね
そんな顔をした
そしてふっと笑って通り過ぎて行った


僕は影を日差しに貼り付けた
もしかしたら片足は真空に突っ込んだかも
身動きが取れなくなって回りを見渡した
だれもが僕に気付かないで通り過ぎて行く
所どころに人だまりがあっても
人の流れは止まらず続いていた


ゆっくり右足を出してみた
手を怖々振ってみた
ぎこちない動きがもどかしかった
誰も僕には気が付かない
関心も無かった
でも僕は人の流れに沿って歩いていた


僕は言葉に傾いている?


右から呼ぶ人があれば
そっちを向くよ
左から呼ぶ人があれば
そっちを向くよ
でもいつも真っ直ぐを向いていた


そして想い出そうとした
そもそも自分はどちらを向いて
歩いていたのか
歩こうとしていたのか
分らない


小さい頃からの記憶を探ったよ
でも想い出せない
僕は真っ直ぐ歩いていたつもりだった
それともどこかで曲がったのかな
言葉に傾くって?
進むって?
ゴールって?
そもそも僕は何に向かっていたのか?
分らないんだ


でも何だかどうでも良いような気もする
決まったゴールがないなら
少しぐらい傾いていてもいいよね
立ち止まったっていいんだ
だけど僕は自明のことのように歩いてきた
真っ直ぐ歩いていると信じていた
色々迷うことはあっても真っ直ぐに
この自信満々は何?


あなたは言葉に傾き
歩く姿に
傾きがありませんか?




 


自由詩 言葉に傾いている Copyright beebee 2014-07-20 23:26:07
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