コンテナの夜
アラガイs


7月
銀と銅が錆び付いた海
夜の埠頭は鉛の影をちらつかし、張りつめられた石板に重奏が刻まれる
圧力で押しつぶした風/
/蒸れを嫌う羽虫
ヘッドライトの灯りが波を照らす/閉じた垂直窓
二つに裂いたエイの口からペットボトルの泡が吹き出して
逃亡者は行く宛てもなくひたすら名を伏せる 。


7月
釣り人のいない濡れた埠頭
夢遊病者は惚けた老人と五歳の少女に振り回されていた
触手の鈍い感覚を取り戻す/
/眠らない夜を語る部屋
線路を潜れば街は屋根のない灯るみ
固い鉄の扉が錠に折れ曲がり
(オルガンよ響かないでくれ)
闇が戒厳令を曳くと
道化師の背はそう呟いた 。












自由詩 コンテナの夜 Copyright アラガイs 2014-07-20 02:19:44
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