知多、6月
Giton

   
明滅の海のきらめきしろきゆめ

なみまにただよう千のきらめき千の破片
いちまいいちまいのかけらがきみを映す銀のおも
そのするどい万の切っ尖にぼくの皮膚はちぢんでいるのに
ぼくはもう波間を進むくらげよりも透きとおって
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いちまいのかけらはうでを刻みいちまいは脚を赤く染め
ぼくの心臓に入り込んだいちまいがあるのかどうか
それはここからでは見えないぼくの心臓をつきさしているきみのかけら
きみがそこにいるかぎりぼくはちょっとここで憩んでいこうと思う
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なみまにただようくらげのようにすきとおったぼくの皮膚の破片
とおくなるとおくなるぼくの皮膚の一部だった海いろのかさ
幽霊船のように旅立ってゆくぼくはやすらかに眺め
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雨上がりの知多の浜はまぶしいだけでなにも見えない
単線の列車はトンネルをいくつもぬけたきみの汗のにおい
ぼくはいきなり消えてしまったらしいああきみの声がするあたまがぐるぐるする
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自由詩 知多、6月 Copyright Giton 2014-07-18 19:52:34
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