靴底
たもつ

道路の端っこに弟が寝ていた
こんなに寒いのに
と思いながらも弟らしい寝姿に
つい笑ってしまった
半身を起こし後ろから両脇を抱え
ズルズル引きずる
小さい頃はよくおぶったものだ
気づかないうちに随分重たくなった
そういえばさっきは久しぶりに弟の靴底を見た気がする
わが国の繊維業界は冬の時代をむかえています
と今朝ニュースでやっていたが
とりあえず俺にも弟にも関係なさそうで良かった
大通りに出ると
市街地の中心部にむかって既に渋滞が始まっている
信号のボタンを押し
横断歩道をズルズル渡る




自由詩 靴底 Copyright たもつ 2005-01-24 21:41:16
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