「#深夜徘徊パトロール」
モリマサ公

(蛇口)
病人扱いされた犯罪者が消えた
あるいは犯罪者扱いされた病人が
あの爺さんのハーモニカ、粒の無くなった玉蜀黍(とうもろこし)なんだって、笑えるね
とても大きくえぐれているし
赤子と痴呆の間の言葉がわさわさと通り過ぎていく
こんな会社やめてやる
またそれ
こんな会話やめてやる

(モリマサ)
わたしたちのサイレンがうなり声をあげて
物影という闇だらけが浮かびまくる
毎年僕が死んだ空の下
女の子たちがパンツをはかずに徘徊する
スキ!を連打しながら

(蛇口)
植木鉢と金魚鉢を薙ぎ倒して
防犯カラーボールの生存者は雑草の不審者
朝から何も食ってないんだよね
さっき3杯かきこんでたよ
アイタイとモウイラナイに身を潜めるダウンタウン
歩行者用押ボタンが点滅する一番深い夜
見つけたよ
誰も目撃しない
ほら手をつなごう

(モリマサ)
案外これは運命的でいけてるナイスなパス
ラブなホテルで無理矢理窓をあけると
ビルでできた光の壁がみえて揺れている
どうにでもなればいいじゃん
どうにもならなかった明日あさってそのつぎもそのつぎも
もうあいたくなっちゃったってささやく声が
頭のなかで爆音になる

(蛇口)
笑顔で接客をします
笑顔でセックスをします
昼も夜も完璧
休憩は近くの公園で
向かいのベンチの浮浪者も完璧
奥歯に挟まっていたシャキシャキレタスサンドのどっかの部分をつまみ出して太ももの上に置く
豪華共演だ

(モリマサ)
浮かび上がるファミリーレストラン
高速道路に吸い込まれていく車いす
自由なからだをめちゃくちゃにしたかった
わたしもあんなふうに
賢く覚えて上手になりたかった
欠けた前歯を前髪でかくして前進する

(蛇口)
迷い込んでた加害者更正プログラムの体験セミナー
街の途中
いまの元カノ
たぶん元カレ
適当なことを口走っている
加工された映像と音声には飽きた
一人ぼっちの帰り道
力いっぱい何度も殴ってみた
口の中を切る
割引運賃適応のバスがクラッシュしている
一瞬無傷

(モリマサ)
ブレーキの跡の残る横断歩道
いまカノが
交互に足を踏み出している
閉じたまぶたで今空を切り取ってツイートしながら震えている
チワワみたいでカワイイ?
明日死ぬかもしれないから
公衆トイレの落書きの電話番号に電話する
君が「もしもし」と答える瞬間





 


自由詩 「#深夜徘徊パトロール」 Copyright モリマサ公 2014-07-16 22:15:46
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