蜜蜂
イナエ


蜜を集めるわたしの行為が
花粉運びとなり
種作りの媒体になっているとしても
それは花の世界のこと

野菜を作る人間は
花粉の運び屋に雇いたいらしく
蜜を商売にする人間は
蜜の収集労働させたいらしく
売買されていると聞くが
給料をくれることは無い

たとえ金を貰ったとしても
使い方など知らないし
知りたいとも思わない
蜜を求めてひたすら飛び回るだけ
DNAの指令だとしても
そこに花があり蜜があれば集めてしまう
それがわたしの仕事

哀しいことなど有りはしない
嬉しいことがあるわけでもない
女王に奉仕するのでもなく
ひたすら蜜を集める
その蜜を女王が使おうと
蜂の子どもらが飲もうと
人間に横取りされようと
ひたすら蜜を運ぶだけ

 


自由詩 蜜蜂 Copyright イナエ 2014-07-16 16:22:21
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