私達に名前なんかなかった
モリマサ公

真昼も真夜中も
完璧にすべてとか理解してたわけじゃないけど
なんでもいいから何かになりたい
全部とかじゃなくて
ほんのちょびっとの一部でいい
奥さんの地獄がよくわかっている自分は
もうそろそろこの次点が終わって
新しくなるのも覚悟しているし
トレードできるものを残さず全部さしだすことも覚悟してる
本当は星になってもっと強く君と一緒にいつまでもいたい
闇を見上げるたびにそこでいつもひかっていたい
月になった君に安心をあげたい
ソープで泣きながら働いたことがあってよかったって
デリヘルで連れて行かれた部屋を全部おぼえてなくてよかったって
イメクラでフェラチオが下手って怒られて
みたいなことを
ドライブに連れてってくれた光の渦の中に吐き出す
ことばにすれば傷つくけどそんな傷じゃ死なない
捏造した傷なんか本当にばかみたいだ
このときのためにキャバクラでナンバーワンやっててよかった
みたいなことを受話器ごしにいうと
少し人の話を聞けるようになったねといってくれた
ミラーボールが無音で回っているのをたった1人でみつめる
ごめんねやっぱりよくないきもちはぬぐいきれなくて
ごめんね許して突き落とす才能を発揮しちゃって
わたしも
おもいきり落ちていくから
一緒にものすごく痛くなりたい
それがどんな場所のどんな痛みなのかこまかく教えて欲しい
それからわたしもぐしゃぐしゃになったところ見せて
まっかな笑い声をあげるから
ネコ飼ってる訳じゃないから
家に帰る理由がみつからないという
むなしみという言葉を彼は放って
わたしに新しい名前をつけて
呼ぶから
ちからいっぱい
ぶつかる







 


自由詩 私達に名前なんかなかった Copyright モリマサ公 2014-07-16 00:13:00
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