drop90%
凛々椿

  drop90%
   雨が降るでしょう
    外出の際は傘をお忘れなく


雨、雨……ああ雨雨雨雨、雨!


ああ神よなぜこの世に雨をもたらしたか
僕は憎むよ
傘ほど邪魔な物質を僕は他に知らない
夕暮れに雨が降るかもとなれば傘を持つか持たぬかで逡巡し
かといって折りたたみ傘は最悪だ
そっくり返るのをなだめつつ広げたら最後
たたむのにどれだけの時間と労力を費やすだろう
おまけにうまいこと元に戻せない
電車の中でたまに開いちゃったりするし
まったく人生じゃないんだしそんな面倒はごめんだ
面倒なのは人生だけでいい
そもそもずぶ濡れになると視線が痛いのが堪らない
なぜ濡れてはいけない
なぜ濡れると哀しい顔をする
なぜ犬ですら中年濡れ鼠を切なく見上げるのか髪も寂しいからか
だいたい犬に合羽なんて……
可愛いから許す けど
もういっそ傘なんて存在しなければいいんだ!
みんな濡れちまえばいい
そしたらブラジャーのラインはくっきり映えるし
厚化粧もハロウィンメイクに早変わりするし
もしかしたら僕のこんな愚痴だらけのやらしい性格も
よくなるかもしれないだろ?


なるわけないか 
ごめん


  drop90%
   雨が降るでしょう
    外出の際は傘をお忘れなく


わかったよもうスーツが濡れたら面倒なんだろ
ちゃんとジャンプ傘持ってくって なんなら駅まで相合傘……
犬とするからいらない?
あ そう
じゃ行ってくるわ
今日メシいらねえからよろしくな


まあ 僕は一人暮らしだけどな



自由詩 drop90% Copyright 凛々椿 2014-07-15 19:20:43
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