「生きるに値しない生命の根絶の許可」もしくは「美味しいハンバーグの作り方」
がらんどう


白いポンティアックのバンパーがねじまがり、ボンネットに飛ぶ鳥の愛称はスポッティ、可愛い名前でしょ、挽肉は力を入れて強くこねます、潰れた卵が二個、パン粉は少なめに、刻んだタマネギを軽く炒め、臭い消しにナツメグ少々、ボールの中で強くこねます、エディプスのゲームを降りた睾丸は二つ、敗北した闘牛士は生きながら食卓に並び、失業したパパは取り替えて、ひび割れを防ぐために空気抜き、全体に火を通すため中心に窪みを入れる、幸福な四人家族はファミレスで、祖母と廃用牛の合挽肉で作られたハンバーグはT型フォードさえ幸福であったと思い知らせ、回転ドアを通れば十七ヶ月以下の仔牛も挽肉になる、リンカーンは奴隷を解放して労働者を生み出したが、いまや電子レンジでチンです、エコロジーのために万博会場ではホームレスのテントが削除され、量産型人間は自然に含まれない、クローン女子高生養殖場の襲撃計画は事前にエシュロンで察知されていた、クロマグロは高価で牛丼は並盛り三百円、獲得された資産は守られるべきと、もはや搾取すらされずただ根絶されるだけ、ポンティアックは突入した交差点で炎上する(人体発火はありうるのだ)、強火で両面焼いてください、そのあとは蓋をしたまま五分間蒸し焼き、きみは死ね。




自由詩 「生きるに値しない生命の根絶の許可」もしくは「美味しいハンバーグの作り方」 Copyright がらんどう 2005-01-24 17:00:24
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