ひとひら
あおい満月

ひとつ、階段をおりると
まるでこどもにもどったようだ
狂おしいほどに
血をもとめていたことも
海馬の海にしずむ
視界が
脱法ハーブを与えた
マウスになって
てんになる



書くこと、
血をかくこと、
もとめてもとめて
経済新聞はどんどん赤くなる
この手が求めるのは
血にまみれたうつ病患者の数

**

めがさめて
なにものこらなかったのは
ひとひらのたましい
ゆらりゆれて
ほむらになって
ゆびさきまわる
ちょうちょうが
こっちへおいでと
赤い牙をむく

***

視線を逸らした
その先には
琥珀の海がある
海はどこまでも染み込んでくる
琥珀の海は、
真実しか求めない
海の手の差し出すさきには
この身はいない
海が残した
巻き貝のなかの声は
永遠にこの名前を呼んでいる


                    


自由詩 ひとひら Copyright あおい満月 2014-07-11 21:42:22
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