ひとひら
あおい満月
ひとつ、階段をおりると
まるでこどもにもどったようだ
狂おしいほどに
血をもとめていたことも
海馬の海にしずむ
視界が
脱法ハーブを与えた
マウスになって
てんになる
*
書くこと、
血をかくこと、
もとめてもとめて
経済新聞はどんどん赤くなる
この手が求めるのは
血にまみれたうつ病患者の数
**
めがさめて
なにものこらなかったのは
ひとひらのたましい
ゆらりゆれて
ほむらになって
ゆびさきまわる
ちょうちょうが
こっちへおいでと
赤い牙をむく
***
視線を逸らした
その先には
琥珀の海がある
海はどこまでも染み込んでくる
琥珀の海は、
真実しか求めない
海の手の差し出すさきには
この身はいない
海が残した
巻き貝のなかの声は
永遠にこの名前を呼んでいる