残響
凍月



この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくないんだ 今は
悲しいのは嫌だから
寂しいのは嫌だから
何も失いたくないけれど
今はこの音楽に身を浸したいだけ


まるで目隠しされて生きてるみたいだ
僕は一体何を知ったつもりだったのかな
君の事
僕の事
君と僕の間の事
湿った石の下に潜む
醜い虫みたいだ
「人間は一人だ」って
言ったのは僕じゃないか
それを忘れていたんだよ
君を見た時から
だるま落としみたいに
一番下を一気に抜かれた感じ
僕は不器用で不安定
だから
全部一緒に崩れたよ


この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくないんだ 今は
悲しいのは嫌だから
寂しいのは嫌だから
何も失いたくないけれど
今はこの音楽に身を浸したいだけ



これじゃまるで糸が切れて
地面に落ちてくマリオット
だけど僕はマリオットなんて
この目で見た事が無い
君の心が見えなかったように
何で空の月は一つだけなのか
寂しくないかなんて分からない
僕は何故独りでここにいるのかが
全く分からないのと同じ


この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくないんだ 今は
一人きりは嫌だから
孤独から目を背けたいから
何も失いたくないけれど
今はこの音楽に身を浸したいだけ



僕は今まで誰もいない街を
ぐるぐる彷徨い歩いてた
君といた頃だけは違ったよ
天国でふわふわ浮いていた
けれど
今ではもう、元通り
この景色は見た事あるんだ
この橋を渡った気がする
この道は何回歩いただろう
また戻ってきちゃったんだ

だけど泣かないよ
第一そんな齢じゃないし
何より
泣いたって誰も
気付かないし



I don\'t want to lose even one thing,
but I wanna lose myself in the music...



この音楽が止まるまでは放っといて
何も考えたくないんだ 今は
悲しいのは嫌だから
寂しいのは嫌だから
何も失いたくないけれど
今はこの音楽に身を浸したいだけ
一旦全部忘れたいだけ
せめてこの音楽が終わるまで
音楽が止まるまで




自由詩 残響 Copyright 凍月 2014-07-11 13:43:41
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