さらわれて、ゆく
千波 一也



達者でありましょうね、きっと
必ずや笑んでおいででしょうね

喜びようの一つ一つを隔てなく
過ちようの一つ一つさえ隔てなく
見届けてくださった、あなたですもの

わたしがなにを望もうと
それは全く叶わぬのでしょう
忘れるまでは、離れるまでは、
わたしを待ってくれるのでしょう

もう、きれいになった頃でしょうか
遠いむかしも遥かな未来も

さらわれて、ゆく

引き寄せられて、引き連れて
終わりのない継ぎ目のまぶしさは
青くあるのですね、永遠に

まるで、鏡の向こうを遊ぶみたいに
振り向く言葉のやさしさだけが
聞こえませんか

さらわれて、ゆく波の
さらわれて、ゆく空の
さらわれて、ゆく時の







自由詩 さらわれて、ゆく Copyright 千波 一也 2014-07-09 22:22:01
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