不明な場所
凍月




ここは一体、何処だ?


冷たい


暗い


分からない


不明な場所



僕は一体、何処にある?
僕の場所とは一体何処だ?

人の心は何処にある?
そんな事
一体誰が言い出した?

僕らに心はあるのかな

見えないものは信じない
聞こえないものも信じない
触れられないものも信じない?

何故信じられない?
自分とは何か?
自分とは、自分だ
と、信じられないのは何故?

鼓動が聞こえても信じられない
体躯に触れても信じられない
鏡を見ても、信じられない?

何が大事で、何が大事でない?
全て大事?

この世は何で創られる?
僕は何から出来ている?


何も無ければ誰もいない
位置不明な闇の淵で
僕はくるくるさ迷ってはひたすら
爆散と収束を繰り返す

ここは何処?だなんて
自分の居場所だって知らないというのに
何故分かるというんだ?

何故何故何故何故人は
こんな無駄なシステムなのか?

なんで自分の居場所が欲しいんだ?

自分に居場所があれば
何故か安心出来る
ああ、僕はここに居ても良いんだ
そう思えるんだ
きっと

自分の居場所は即ち
自分そのもの
自己が無い自分なんて
自分なのか解らないから

居場所が無いとは
多分、それとおんなじさ


「物語」という嘘が僕らを覆う
「幻影」という視界が機能する?
「引き裂く」という涙が零れる

人の社会で
何が一番大切なのか?
すなわち、人の本質とは何か


僕の居場所は依然として

不明なまま

不明なまま

いくら捜しても見つからない

あなたは、何を以てあなたなのか
私は、何を以て私なのか


ここは温度も感じない明るい場所
ここは何も見えない静かな場所
ここは音の概念の無いだだっ広い場所
ここは広さも解らない無機質な場所
ここは無が佇む柔らかい場所
ここは無味無臭で冷たい場所

ここは人間の居場所
不明な場所


不明な場所で僕は独り眠る




自由詩 不明な場所 Copyright 凍月 2014-07-09 22:18:26
notebook Home