怪談
月形半分子

三面鏡が浴びたのは女の末期

ティッシュが火ぶくれ

肌に青いミミズの這い回る

鉛の紅の差しかけに


口から毒のあぶくのあふれだす

はりつめ尽きる瞬間に

女は子午線を噛みちぎった


毎夜 零時に参ります

毎夜 零時に参ります


南無阿弥陀仏と蠅が唸ると

風鈴のチンとなり

煙草の灰が畳に落ちる

男の吸っている煙草の灰が




自由詩 怪談 Copyright 月形半分子 2014-07-08 02:32:50
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