エッセンスα
凍月




どうしたい?
何がしたい?
返事は無く、ただ
ゴボゴボと音を立てて
癒着と融合を繰り返す

人間と名付けられた混沌は
原型なんて留めない原罪なんて分からない
見える獣より見えない怪物
知らない魔獣より気付けない悪魔
水面に映る月に映ってる窓を
開いては閉じ鍵をかけ
自分が人間である事の賭け
今悩む時点で何らかの負け
人が上から飛び降りる為の崖
過去と未来による卑下に
幕が上がって始まる悲劇
人生と云う名の寸劇
何も知らずに踊るなら良し
そうはいかないのが人間と云う葦
一本だろうと千本だろうと変わらない
全部刈られちゃ堪らない
人間の進出は止まらない
人間の浸食は終わらない
朽ちゆく宮殿
待ち構える豹変
割れた破片
心の欠片
逆向きに進む時計
氷塊の融解と固定
流動した心も今では硬い
漂流した過去は何処に行く
漂着した木切れを拾い上げ
白い砂浜に放り投げ
何処とも知れぬ砂漠を歩む
歩き疲れ
捜し疲れ
赤い太陽の血に浸かり
青い湖に身を浸し
暗い廃墟に身を隠し
腐った死体に魂を宿す
常識という幻想と
普通という妄想と
生きているという幻覚と
生きているという妄言と
善と悪の夢の中
止まらない恐怖に終わりなく
止まらない狂気に底はない
木霊する銃声
剥き出しの獣性
エゴによる修正
大義の下の粛清
人間の変わらぬ習性
それが宿命
罪の天命
点滅する命
展示された白骨
点火された死体
天国へゆく魂

もう叫べない亡者
二度と涙も流せない
誰かの凍死体




自由詩 エッセンスα Copyright 凍月 2014-07-07 23:23:50
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