言うだけならタダ
煙と工場

ある時
うさぎは
森の中を
大声で叫びながら
走っていた

「たいへんだ
 たいへんだ
 ぼくはおおきなゆううつに
 おしつぶされて
 しにそうだ」

動物たちには
「ゆううつ」という
ことばなんて
知らないものだから

「ゆううつ」ということを
考えているうちに
動物たちは
「ゆううつ」に
押しつぶされて
しまった

ところで
最初のうさぎといえば
けろりとした顔で
今でも
森の中を
歩いている


自由詩 言うだけならタダ Copyright 煙と工場 2005-01-24 09:30:25
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