覚悟
千波 一也
泣かせたくなんかないよね
涙ぽろぽろ流してさ
つらそうな顔なんて
見たくはないよね
それでも
厳しく言わざるを得ないときがある
無慈悲を装うべきときがある
心を鬼にして
冷たい矢を放たねばならぬときがある
かわいそうなことかも知れない
ひどいことかも
見当違いなことかも
独り善がりなことかも知れない
たくさんの迷いや呵責の念に苛まれても
その愛情の向かう先が
あなたでないのなら
きっと大丈夫
泣かせたくなんかなくても
それが誰かの未来のためならば
あなたの保身に走らずに
かわいそう、だなんて言葉に落ち着かずに
本気でぶつかりにいこう
不器用なほど傷つくけれど
不器用なほど身に染みるのが
愛情だからね
都合よく
汚れずきれいに
労せずたやすくなんか
手に入らないよね、なにひとつ
身内も他人も老いも若きも
もちろん、あなたも