残された時空
信天翁

去る日──
 虚空は躁病となって
  ルビーの文月が真夏日となった

風と光と雨と土は
 ぺんぺん草だけを増長させた
  趣きの貧相なおらが裏庭一面に

あゝ 網戸をすりぬけて匂ってくる
 干上がりかけた草いきれが
  生のゆくての死の果てから か


自由詩 残された時空 Copyright 信天翁 2014-07-05 08:35:30
notebook Home