白い幻影
凍月



君と出会ってから迎える冬は初めてだ

僕の無意味な君への想いの残滓と
僕の目に焼き付いた君の残像が
見えない粒子になって僕に纏わりつく

僕の肺から出た溜め息の水蒸気に
煌めくそれらは白い冬の幻影


その白さが思い出させる
君の手の白
僕の記憶を上書きして
君が忘れられない
目の前が君の白に染まり
何も見えない
手袋をしても手が動かない
君がいないから


窓の外の雪景色は
結露した涙で見えない
外に出たら
優しいはずの太陽が
儚き結晶を融かすだけ

一陣の風が木の葉を運ぶ
軽快なリズム
冬の風が冷たいのは
隣に君がいないから

冬の凍りついた夜景が
静かに僕を包み
孤独と悲しみと思い出がまた
僕の溜め息に白く輝く

その白さが思い出させる
君の手の白
僕の記憶を上書きして
君が忘れられない
目の前が君の白に染まり
何も見えない
手袋をしても手が動かない
君がいないから


一陣の風が木の葉を運ぶ
軽快なリズムが
君の足音のリズムに聞こえて
横を振り向くけど
失望から生まれた
僕の溜め息は
白い幻影
白い君の幻影




自由詩 白い幻影 Copyright 凍月 2014-07-03 20:19:37
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