信じられる、大きさに
霜天

おおきくいきをすいこんで
少しずつ、大きくなっていく
何かをひとつ手にするたびに
少しずつ削られていくとして
今ポケットの中で
残されているもの


ひかりが、まぶしい
冬の午後
足先から根を生やして
あたたかさを吸い上げる
ことばかりを
探しています
手のひらの中のせかいで
正解のような顔をしているものを
そっとつつくと
あちこちからひびがはいって
空ばかりが残るので
私が青になるのです


うその始まりを、ゼロとして


戻れない
言葉を地球儀で捜します
振り払った言葉さえ
こころに降り積もる日々なので
ゆたり、ゆたりと
欠けゆく月のリズムの
真似をする
ポケットの
残っている言葉が
空を飛ぶまで
この場所で

おおきくいきをすいこんで
信じられる、大きさに


自由詩 信じられる、大きさに Copyright 霜天 2005-01-24 01:55:53
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