ブリキの森と紙の古城とうるさい湖畔の魔法
クローバー
ブリキの森
過去この森では激しい戦いが繰り広げられた
あの子の手で
おもちゃの兵隊は多く並べられ
忘れられたものから
少しずつ錆を浮かべていった
小さな蜘蛛がときどき挨拶をして
巣の端をあらゆるところに結んでいった
私は同じ笑顔を向けていた
どこになのか、誰になのか、自分でもわからないけれど。
紙の古城
段ボールのおもちゃ箱から
出兵していくおもちゃたちを見送った
紙の古城には
戦車になりそこなったタイヤや
翼の形をしたブロックが古代の遺跡の様相を見せ
布でできた幼い日の友達たちが
皆の帰りを待っている。
うるさい湖畔の魔法
正義は我にあり、全軍出撃
と唱えられた、この森が騒がしかったころを懐かしみながら
私は眠り
湖の底に沈んだようだった
のは、ついこの前までの話で
いらっしゃい、私の友達
彼女は魔法使いで
大きな声でこう唱えると
私を湖畔に引き上げた。