紫陽花
千波 一也
濡れそぼつ紫陽花を
傘の中から覗いたわたし
やがて
雨が上がれば
水滴さえも花にして
紫陽花は凛と
咲くのだろう
濡れることを厭うわたしは
濡れる役目を傘に負わせて
柄を握る手に力を込める
わたしは
何を守るのだろう
わたしは何を守れるのだろう
例えば
もうじき注ぐであろう陽射しの中で
望みのはずの陽射しの中で
自由詩
紫陽花
Copyright
千波 一也
2014-06-29 20:43:17
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