雨が降る街にて
ichirou


雨に濡れたアスファルトが映す街は
モノクロの写真
音も止まる
古いスチル写真
動いているのは
私の影
そして
雨粒と水の波紋

雨水に浸食されていく電柱は
濡れて黒い墓標
匂いもなく
孤立する墓標
漂うのは
私の気配
そして
雨しぶきと街灯に描き込まれる斜線


雨雲は雑巾のように雫を垂らし
ゴミ捨て小屋は野良犬の様にジッと雫に耐え
地の奥では窒息寸前のミミズが苦しみに耐える
薄目で空を見上げ
私は
西に向かう
わずかに青い空が見える西に






自由詩 雨が降る街にて Copyright ichirou 2014-06-29 17:15:39
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