目的についての考察
小川麻由美
私は生を受けてから このかた
目的について思いをはせることなど
滅多になかったと記憶しています
あったはずの目的 あるはずの目的
目的を持つことは美化されがちです
目的は善悪とは別の次元のことです
小さな達成感 大きな達成感
善いことの達成感 悪いことの達成感
その達成感を得られる快感
それが人間の生きる原動力
かもしれません
目的の結果において
達成感を得られると
人間はまた目的を探すでしょう
目的の正体は明かされません
私達は見上げても終わりの見えない
螺旋階段を登っています
ふと見知らぬ何かに肩を叩かれたら
歩みを止めざるを得ません
誰しも肩を叩かれる日が来ることを
知っています
次の瞬間かも知れないし
何十年も先かもしれません
自ら歩みを止める者もいます
それこそ様々な歩みがあり
ひきたてのカルダモンの実の香りを
嗅いでしまったような
目眩を覚えます
目的を探しながら螺旋階段を登る
そんな歩みが私には合っている
ような気がします
無理せず一歩一歩 階段から
落ちないように そんな歩みを
私はこれからも続けて行くでしょう