あまりにも夏
千波 一也



夏至が過ぎた、と思うと
こころが細る

なにも
急激に夜が押し寄せるわけではないし
夏本番を迎えてさえいないのに
こころは焦る

やりたいことと
やらねばならぬことと
両方を隔てなく在らせてくれるような
陽射しの寡黙さが好きだ

形を持たずとも
輪郭を覚えさせられるような
一瞬たちの
無言の明滅が好きだ

わたしの本質は
あまりにも夏だったのだろう

幻も約束も優しさも
影も時間も愛しさも
抱き締めずにはいられない






自由詩 あまりにも夏 Copyright 千波 一也 2014-06-25 22:42:47
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