ファントム
為平 澪

服を脱いだら 頭だけになりなさい
そのあとは 感覚だけで
頭と身体を 切断される痛みを知りなさい

君の目に見えるモノの 向こう側をえぐり取り
頭で覚えた文字を身体に刻め
君の唇が赤い理由を 他人が出した舌が翻訳するだろう

もっと脱いだ君を私に見せなさい
髪を振り乱したまま雨に撃たれる、
その黒すぎる末梢神経を、
自らの手で引き裂く覚悟で 紙をかきむしれ

君が流す水という水の 源泉はどこだ
君を焦がす炎の 行き場はどこだ

混沌の空と爆発の光を纏い 
もう一人の他人を飼い慣らすまで
裸で何処までも 街を行け


「ファントム」 私の右側の鼓動
私の吹き溜まりから現れた  炎と水を操る恋人


自由詩 ファントム Copyright 為平 澪 2014-06-25 21:45:51
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