丸が恐ろしい
小川麻由美

13日 金曜日
だからって…
いくらなんでも…

うす汚れた高層雲に
ギザギザにされた満月の
にじんだ輪郭は 丸

CT MRI PET
写し出された 丸
恐ろし気に存在する 丸

私は彼の腕を握る

深々と頭を下げた
白衣の男性よ
頭を上げて嘘と微笑んで

彼の頭蓋骨は
丸く切り取られ
あらわにされる脳

空にあるのは
眩しいばかりの満月
それは 丸

ついさっきまで私だった髪
枕に付いた髪は もう
私ではない髪

頭のてっぺんの丸
日々 私でなくなった髪が
せっせと作った 丸

丸が恐ろしいなんて
知らなかった
知りたくなかった

知らずに済めば良かったのに
知らずに済めば
どんなにか良かったのに


自由詩 丸が恐ろしい Copyright 小川麻由美 2014-06-18 08:46:30
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