嘘っぱちの権力
ららばい

なんとかここから這い出そうと
あらん限り手を伸ばしても
握りしめるのは砂ばかりで
こっちだよこっちだよと
地底から伸びる生ぬるい手に
足首を絡めとられる

もがくたびに砂を呑み込み
喉の奥が轟々と鳴ってはえずく
もがかなければよいのだよと
耳元で誰かがささやく
いっそのこと埋もれてしまえたら楽なのだろうか

作戦を立てようと
足先に真赤なペディキュアを塗る
スニーカーの中の秘め事
抗える力を得た気がして
私はひとりほくそ笑む

何も見えなくなる前に
何も聞こえなくなる前に

這い出してやる




自由詩 嘘っぱちの権力 Copyright ららばい 2014-06-15 20:18:46
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