ハーモニカ
nonya
>吹いて
<吸って
<吸って
>吹いて
あたたかい息が
リードをふるわせると
やわらかい音符があらわれる
>吹いて
>吹いて
<吸って
>吹いて
さみしい唇を
吹き口ですべらせると
やさしいメロディがつながる
音符を落としながらあるいた
ひとりぽっちの帰り道で
メロディを懸命においかけた
ごじかんめの音楽室で
いつも身近にあった
ひとなつっこい楽器は
記憶のきざはしの一番下で
ぼんやり錆びついたまま
>吹いて
<吸って
>吹いて
<吸って
日々のリードを
かすかにふるわせながら
暮しのハーモニーに
かろうじてくわわりながら
想い出してくれるのを
ずっと待っている