緑のソネット
藤原絵理子


泉の底は 緑の湖につながっている
透明な砂 さらさらと音をたてて
樹液の雫 ガラス細工のように
あたしの言葉は 沈黙 拒絶する

森や小川は
たくさんのことを囁きかけ
眉間のあたりが熱くなる

子供の頃 熱にうかされて 見上げた
薄暗い天井の色と ふわっとした
枕の匂い 藁に埋もれたヒヨコみたいに

しあわせと ふしあわせが
際立っていた 森にいた頃 わかっていた
泉の底は 緑の湖につながっている
深い霧に包まれた しあわせは


自由詩 緑のソネット Copyright 藤原絵理子 2014-06-10 22:47:59
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