祭りのあと (よさこいソーラン祭りに寄せて)
Lucy



雨が降りやみ
風も吹きやんだ

笑顔のままで
濡れそぼる重たい旗を
強風に煽られながら支え続けた
孤独な旗手の闘いも終わった

鈍色の空が少しずつ明るくなると
どこかで小鳥の啼く声がする

祭りは終わり
踊り手たちの熱狂が
汗が
歓喜が
落胆が 涙が
花びらのように
舗道に張り付いている 

大音量の音楽
掛け声
色とりどりの衣装
平和だからこそ
繰り広げられる
全き生の充実が
私の耳にこだまし
眼裏に翻る

一夜限りの完成に向け
喜びを分かち合うために
心を一つに練り上げられた
渾身の演舞
その中にきらめく
ひとりずつの想い

観客の拍手に
ありがとう
ありがとうと
口々に叫ぶ踊り手の笑顔

ただ一瞬の燃焼を
命に刻みつけるために
来年も
再来年も
その次の年も
舞う人々がいる限り
祭りの炎が
燃やされ続けますように

平和が
続きますように







自由詩 祭りのあと (よさこいソーラン祭りに寄せて) Copyright Lucy 2014-06-09 14:30:39
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