戦場
葉leaf
戦場
辺りを見回すと曇った戦場になっていた
地図も何も持っていない
辿るべき道もなければ道を切り開く道具もない
振り返るとそこには文書の山があった
作り笑いをしている顔があった
とりあえず文書と人から地図の書き方を教わる
遠くに目的地の旗が見える
僕の前に地図はない僕のあとに地図はできる
銃弾に怯えながら戦場を走り回り
自分の体で空間を切り開き
自分の頭の中に地図を作り上げる
緊迫した幽霊が僕に憑りつき
銃弾や剣での負傷を比喩した幻想を眼の中に押し込んでくる
僕はいつ襲われるかわからない
そしてこれが一番大事なことだが
僕は武器を持たない
忠実さと謝罪だけを盾にして
ただ防護しながら頭を低めて地図を作らなければならない
違った戦場にどんどん連れまわされ
あるときは地図の作製に成功し
あるときは負傷し傷口を自分で押さえる
幽霊は切迫した表情で作文を続け
僕の頭の中に思想を流し込み続ける
僕は幽霊の思想を躱しながらもそれに順応する
幽霊の重さに負けない体の組織を作り続ける
決して勝つことのできない戦場で
決して負けないように地図だけを膨大に作って
幽霊と僕との間には精巧な仮面を挟み込む
いつどんな一撃が
僕の生命を奪うかもわからない戦場で