さよならを言いたくなってしまう
ユッカ


服の白さにつまさきが
ギュッと縮んで歩けなくなる
大事な人にさよならを言いたくなってしまう
わたしを包みこんでいる
美しい勘違いのすべてが
いつの日か明るみに曝されて
間違いさがしを始めるようになったら
早くこの街を出なくちゃいけない
わたしが

その朝
街は銀色につつまれて
空気はわたしの肺を
フィルムみたいに透かしていくんだろう
まるで最初から何も持っていなかったみたいに
すべて置いていけるだろう
別れはいつも
なんてうつくしい

傍にいることでこんなにもみにくくなって
みにくいまま何もかも
はっきりとしないで

朝日が街を完璧な角度で切りとっていくだろう
かなしいほど綺麗に
むなしいほど清々しく
わたしは最初の一歩を踏みだすだろう

決断はわたしに
いつでもやさしい

どこまで行っても
なにをやっても
どんなにあがいてみたとしても
あなたがあの日いれてくれた
一杯のお茶以上に美しいものは
見つからないのに


自由詩 さよならを言いたくなってしまう Copyright ユッカ 2014-05-28 22:28:35
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