あじさい
藤原絵理子


青空を集めている
あじさいのつぼみ
青いガラス瓶
明るい陽に揺れる

痩せ細った手で
筆の先から
搾り出したような 一枚の絵
淡い青のあじさい

木立に濾された光は
揺れる葉の上に転がって
小さな音をたてる
サティのピアノが聞こえる

白い扉のホスピスにいた
荘厳ミサ曲より
ジムノペディが似合っていた
彼女の淋しい笑顔

やがて灰色になる この庭に
青空を吸い込んだ
淡い青のあじさいが咲く
白い壁に掛けた絵のように

彼女の不在は
所在無げな白い椅子の上
蟻がせっせと
夏の準備をしている


自由詩 あじさい Copyright 藤原絵理子 2014-05-28 22:27:30
notebook Home