女の子は忙しい
アンドリュウ
皆が手を取り合って歌うので
盛り上がった会場をあとに
裸の王様は出発する
皆が口をそろえて褒めるので
道中も王様は上機嫌
寒さも暑さも感じない
堂々と歩いてゆく
傍から見るとその姿は
どことなく滑稽にみえる
裸の王様と取り巻き達の一団は
お構いなしにズイズイと進んでゆく
もう王様も裸である事に気付いている
その事に取り巻き達も気付いている
誰もが疲れて倦み始めている
だが列は続いてゆく
ちっちゃな手で
王様を指差して
王様は裸よ!という筈の
女の子は塾とゲームで忙しい
皆の衆 目覚めよ
杖をついてそう怒鳴る
老婆もデイケアーの車が
何処かへ連れ去る
本当の事を言う者のいなくなった社会
止まらない茶番は続いてゆく
ただ倦みだけが蓄積されてゆく