間引くなら床に散らかせ(Day in Day out)
ホロウ・シカエルボク







言葉にはとくべつ届くところなど無い
如何なる力も無いし、如何なる意味も無い
ただ、そこそこの必要に応じて、そこにある
目印のようなものだ、それは動かしようが無い
認めたがらないやつらが、血走った目で語り
そういうものだと思うやつらが、たんたんと語り
絶対にそうではないと信じてるやつらが、よくあるやつを語る
暗黙の了解の上で取引する、魂なんかに汲み取るようなものは無いさ
回りくどい予定調和をやりたいだけのやつらが多過ぎるんだ
武器じゃない、魂じゃない、愛じゃない、裏切りでもない
ただそこそこの必要に応じてそこにある目印のようなものだ
言いたいことは判ったから唾を飛ばすのは止めてくれよ
補足が必要だって自分でも判ってるんじゃないか?
せめて淡々と語れよ、求めることも求められることも
大事だなんて考えちゃいけない、それが必要なら、珍しい神様の居るところにでも行きなよ
誰もこんなもの必要だなんて考えちゃいない、ただ
ただ見知らぬ場所を歩くためには地図が必要だから
自分なりのやり方で描いていく術を選んだだけのことだ
誰々だのの名前で流派を作り、違う名前と争ってみたり
生まれたやつの数だけあって良いんだよ、あとはそれが気に入るかどうかだ
あとはそれが気に入るかどうか、それだけさ
べつだんこれについても理解してもらおうなんて到底思わないけれど
床に落ちた唾はきれいに拭いといておくれよな
赤の他人の自意識の上なんか歩きたくは無いからな
言葉にはとくべつ届くところなど無い、おれはそれをすごく知っている
生まれてこのかたそれがなんであるかってことをずっと試してきたからさ
それで判ったんだよ、言葉の届く場所なんて信用しない
だからこそ出来る限りの言葉を使うのさ、どうしてこんなに必要なんだっていうくらいね
そうすれば少なくともそこへ向かう意思みたいなものは感じてもらえるかもしれないだろ
つまり考えうる限りの試し方をしてみるのさ、それがたぶん一番大事なことだぜ
当り前の知識や、当り前の気持ちや、当り前の反抗なんかで描かれたものなんていまいち面白くなくってね、それはおれがただの天邪鬼だってだけのことなのかもしれないけれど
こんな風に思うんだよ、よりダイレクトに伝えようとすれば…そのものズバリを話しちゃダメなんだ、それはダイレクトっていうことじゃない、それはただの近道だってことさ
直接的に語ろうとするなら、その周辺のあらゆるものについて語るべきさ
判るだろう、言葉にはとくべつ届くところなど無い、だからいろいろな要素が必要になるんだ、手の込んだ料理のようなものさ
ひと言で何かを語れるなんて少なくともおれは絶対に考えはしないよ
フォーカスを合わせれば周辺はぼやけてしまうだけさ
たとえばおれがハローと言えばきみもハローと返すだろう?そういうものだなんて考えたくは無いんだ
もっとたくさんのことをしなくちゃいけないってさ、ひとつでもたくさんのことをしなくちゃいけないと思うわけさ
ハローで済むならハローって言っとけば良いって話だろ
長い距離を跳躍しようと思えば助走は長く取ったほうがいいじゃないか
必要な距離を確保したら、後は全力で走るのみ、ここだという場所が見えるまで全力で走って、見えたら跳躍するのさ、上手くいったらまんざらでもない景色が見えるだろう、「あんな風に飛ばなくたって」「あんな距離を飛ぼうとしなくたって」なんて、周りのやつは言うかもしれない、だけど
そいつらはそんな風に走らなかったやつってだけの事なのさ


いくつかは飛び越えた、そうして、また








なにかしら見えてくるだろう







自由詩 間引くなら床に散らかせ(Day in Day out) Copyright ホロウ・シカエルボク 2014-05-28 00:07:01
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