深海魚
フユナ
ひらひらした服で
私の少し上を走り抜けるあなたは
真上からの光で
まるで影法師
暗闇のあちこちに手を振ると
また走り出していく
愛憎を背守りのようにくっつけて
離れていくにつれ
あなたはくっきりと華やかだ
影法師はひかりとなって
私は明日も生きれるだろう
泥中からあなたを臨む私は
まるで深海魚
天上に放り出されれば
醜くつぶれてしまう
そしてあなたも
ひかりでも影でもなく
ただ私より
少し上に棲んでいる
一匹の深海魚
ひらりと翻る、着飾った尾びれ
降り下ろされる銛から逃れながら
それでも天上の歌を
うたいつづける