深海魚
フユナ

ひらひらした服で

私の少し上を走り抜けるあなたは

真上からの光で

まるで影法師

暗闇のあちこちに手を振ると

また走り出していく

愛憎を背守りのようにくっつけて

離れていくにつれ

あなたはくっきりと華やかだ

影法師はひかりとなって

私は明日も生きれるだろう

泥中からあなたを臨む私は

まるで深海魚

天上に放り出されれば

醜くつぶれてしまう

そしてあなたも

ひかりでも影でもなく

ただ私より

少し上に棲んでいる

一匹の深海魚

ひらりと翻る、着飾った尾びれ

降り下ろされる銛から逃れながら

それでも天上の歌を

うたいつづける












自由詩 深海魚 Copyright フユナ 2014-05-27 23:52:04
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