倒れるということ
竜野欠伸

担架の中で目を覚ます
運ばれる直前の
記憶が定かではない
どこで何をしていたのか
今日がいつなのか
答えられない
なぜかはわからない

倒れるということは
命のともし火が消える
手前のことであって
人間の命という力を失い
地球とのつながりが途絶え
生きるためのすべが
見つからなくなること

ただ疲れ過ぎていたせい
かもしれないけれど
誰もいなければ
そのまま
たったひとりで
倒れていた
彼女は救急車を
呼んでくれていた

自分の名前を問われて
やっと答えることができた
まだ生きることができる

人の手が
あたたかい
倒れても
再び立つことが
できる


自由詩 倒れるということ Copyright 竜野欠伸 2014-05-27 12:13:27縦
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集