筋肉間情報伝達が狂ったときに
イナエ

生まれたばかりで
眼も開かない嬰児は
母の乳房からほとばしる母乳を
難なく飲む 

犬も猫も生まれて 
目も開かない間に
母親の乳房にしがみつき
当たり前のように喉をならす

何十年も
飲む動作を繰り返してきた大人が
たった一日 喉に管を通して
強制呼吸しただけで水が飲めない

 看護師に見守られ
 コップの水を飲む訓練をする
 「少量口に含んで
 「奥に流して
 「はいゴックン
 ゴックンが出来ない
 むせて吐き出す

生きていく上で
狂い無く連携している
各器官の動作を
大脳からの指令で
行うことなど困難なのだ

人間社会も日常生活が
スムーズに進んでいくには
社会を作る個々人の連携が
大切なんだろうな

(「蕊」53号から)


自由詩 筋肉間情報伝達が狂ったときに Copyright イナエ 2014-05-27 09:22:11
notebook Home 戻る