ここには生きた死体ばかりが働いています　みんな自分の大事な部分を殺して一度死んだ上で　その死体を制度の機械的な動きに合わせて　操り人形のように動かしているだけです　ここに生きた人間は入れない　入る段階で皆死ななければならないから　「入る前より生き生き」　生命の定義すら変わる

望ましいコミュニケーションとは　互いに響きあい喜び合うもの　疲労してもはや響けない　それでも際限なく続けられるレポートは　コミュニケーションと呼べるでしょうか　笑顔で偽装しても心に染みを残すやりとりは　本当にコミュニケーションでしょうか　もはやここには機械の音だけで人間の声がない

あれだけ誇りであった僕の不健康が　時計の針に合わせて働くことで失われてしまった　不健康は山道をなぞり　鳥の声を聴き　日差しを浴びていた　健康は一日中ディスプレイに貼りつき　情報のやり取りに終始している　不健康は頭上に降って来た一滴の雨粒を分析したが　健康は雨粒の存在を隠蔽する

たかだか短い組織内の生活で　もはや月の裏側と太陽の内側を見てしまった　組織に合わせるために用意した仮面に引きずられて　仮面は華々しく思想や態度を産み続ける　仮面は僕の第二の母　生み出したつもりが生み出されて　仮面は流動する技術の集積　仮面を外したときまだ本当の僕の顔はありますか