【残】むしできない  オムニバス三篇
るるりら







↑お好み焼きの島のような画像は、祐源 紘史という方の作品です。
街を歩いていて見つけました。
段ボールは こどもたちがつくりました。鳥居は私が書いた♪
 

【 むかで 】


空から足が墜ちてくる
はらばいで 大地の無心
なすがままになると こどもらが 背中にのっかってくる
たまに頭にまで 足がのっかってくる

背中の上から
歓喜の声がきこえてくる こどともらは いれかわり たちかわり
背中にのっている こどもらが 背中のうえで むかでになる

むかでの恐竜が あしを ひっきりなしにうごかして
なすがままの大人の背中をかりて 空を とぶ




【 へびをたべる 】

神の島とよばれた うつくしい島で
雅楽が鳴り響き 
とおい異国のとうい時代の文化を 今に伝えて いる
海原に浮かぶ舞台では 豪奢な衣装が翻り

還城楽という踊りが今に 伝えているのは
蛇を食べる人々が
この海の向こうにはおわしまして
見知らぬ人々の暮らしにもは
わたしたちのしらない喜びがあること 

笙のしらべがいざなう
うつくしの島の ギーク伝承
へびを食べる うつくしい人々が
海の向こうには おわします
   
  
  
    ㊟*【還城楽】ゲンジヤウラク
    雅楽の舞曲のひとつ。怪奇な面をつけ、
    作り物の蛇を捕らえて勇壮に舞います。
    一説には、西域に蛇が好物な人々がいて
    その人々が蛇を見つけて喜ぶさまを写した舞と
    言われています。






【 おかいこさまは みどりご 】 

殺生をしたらいけんのじゃ
お蚕さまだって 殺したらいけんのじゃ
たくさん たまごを産んでくださったら
やがて それは みごとな 鶴の恩返しよりも
高価な緑色の糸で繭を おつくりになる
じゃから 蚕だけ いただくんじゃ

しろい絹になる御蚕さまは
漫画の天使みとうな 飛べそうもない羽根をもっておられるそうな
わしらの 御蚕さまは みごとに おおけな羽根をもっておられ
いまどきのこどもらは こわいなどと たわけなことをいう子もおるが

わたしらの 御蚕さまは ちゃんと 飛べるんじゃ
翠の糸を わしらにくださり 
わしらの御蚕さまがたは 空を忘れておられんのじゃ
軍都廣嶋じゃて いわれたこともある
じゃが 御蚕さまは いまも羽根を失ってない



     ㊟*山繭を使った絹作りが広島にはあります。
     広島市安佐北区可部地区では 江戸時代頃に
     山繭織りは 始まったと言われています。
     養蚕が、日本の経済を支えていた時代もありましたが、
     通常の養蚕では 繭をつくった後の幼虫は殺すこととなります。
     しかし、広島では安芸門徒とよばれる仏教が浸透しており、
     蚕を殺す養蚕には ためらいがあったので
     養蚕用の改良された種ではなく
     山の繭を使い、繭を作ったあとの幼虫は殺さなかったと
     おっしゃる方が おられます。  

     山繭の絹の場合は、白い絹とはならず、染色をしない状態で、
     うつくしい緑色をしており 、その希少価値と美しさから、
     高価な糸となっています。




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novelistの「詩人サークル 群青」の五月課題【残】
http://book.geocities.jp/sosakukobo_gunjyo1/


携帯写真+詩 【残】むしできない  オムニバス三篇 Copyright るるりら 2014-05-26 12:41:02
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