ブラックホール
ららばい

鼻をさ、ずーって吸うと、宇宙にいるみたいだよね。

少年はぽわんとした目をして、
さも気持ちよさそうに鼻をすすりつづける。

少年の鼻の穴はブラックホール。
そこから続く無限の世界は、
間違いなく少年のものだ。
少年は宇宙をぷかぷかと漂いながら、
果てしない旅をしているのだろうか。
どの星を目指しているのだろうか。

私は思わずまじまじと、
少年の鼻の穴を覗き込みたくなる。

私にはその子の診断名なんて、
もうすっかりどうでもよかった。



自由詩 ブラックホール Copyright ららばい 2014-05-25 15:02:36
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