アイリス
塔野夏子

アイリス
君を見てきた
誰もが君の姿に
夢や憧れの物語を描くけれど
アイリス
でもきっと誰も
そして僕も
知ることはない
ほんとうの君の
創世記も
黙示録も
それはただ君の中で語られ 記され
君という存在を
静かに深めてゆく
アイリス
誰もがたぶん
その深みからの不思議な輝きを
君の姿をとおして
透かし見ているんだ
そして君をアイリスと名づけ
夢や憧れの物語を描くんだ

アイリス
君を見てきた
誰も知らない君に触れられたらと
叶わぬと知りながら
夢み 憧れて




自由詩 アイリス Copyright 塔野夏子 2014-05-25 11:17:30
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