ある古代詩のソネット
ハァモニィベル

形の無いものから逃れようと、必死に奔るうちに
地平線は、もう、どこにも、見えなくなってしまう。
「待機せよ」と、ひとりの純白の少女が起ち上がり祈るが、
またふたたび、真理が降ることは、ないのだ。


黒い芸術が現れ、それが席巻する季節が訪れ、
皆、倣うように、有利な契約を結ぶ作風に勤しむ。
無垢な利益は嘘を吐かない。
恍惚はいつまでも、少しずつぼやけていく。


跋扈するのは、計算された慈愛だけ、になり、
それが、限りない魂の戯れ、を奪い去る。
20××年×月×日


初めて訪れた町で、
名前を失ってしまった時、
君は新しい冠をかぶるだろう。






自由詩 ある古代詩のソネット Copyright ハァモニィベル 2014-05-23 22:30:26
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