飛べない翼
まーつん

 上手く折れない
 紙飛行機が
 放り込んだ屑籠の
 縁から顔を覗かせている

 拾い上げて
 半開きの窓に向けて
 今一度、飛ばしてみるが

 盲の鳥のように
 あさっての方向へ突んのめり
 硝子越しの空に鼻先をぶつけて
 畳に転がった

 首を振る扇風機が
 それを、ころころと転がす

 風に乗れずに
 弄ばれるだけの
 飛べない翼、それを

 僕は
 もう一度
 拾い上げる

 丸めて捨てるか、いや
 広げて折り直すか

 でも、
 傷つきやすい薄紙が
 今にも、破れて
 しまいそうで

 結局、
 書き物机の隅に置き
 頬杖を突きながら
 眺めている

 諦めるなよ、
 例え今は
 羽ばたけなくても



 お前の翼は、美しい







自由詩 飛べない翼 Copyright まーつん 2014-05-22 22:10:23縦
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